ただの雑駁

理屈と均整を求めたがります。仕方ないですよね。人間だもの。

【感想】マルドゥック・アノニマス5 / 冲方丁

マルドゥックシリーズ最新巻、アノニマスの5巻がついこないだ(5/26)発売されましたね。
大体1年に1冊くらいのペースで刊行されているので、毎年の楽しみになりつつあります。

ぶっちゃけ、5巻は語ることないですね。
書評をするにしても4−5巻の2冊を複合して語るべきかな、と感じました。
4巻が怒涛の連続過ぎて、情報量も多くて隙のない面白さだったんですよね。5巻はその4巻のネタバレというか、深堀りに近いので、5巻の内容としては完全に溜め回って感じがしました。

しかしですよ、あまり過去作を振り返って歩いてはいないので何とも言えないのですが、バロット氏の成長著しいですね。アノニマスが始まってバロットが出る度に思っていましたが。
あのスラム出身の娼婦の女の子が今やロースクール行って、家庭では同じような境遇の女の子を救済までしてますからね。ちょっと泣けますよね。

4巻のときでしょうか、うろ覚えですが以下のような問いというかくだりがあって

環境がなければ人は思想を獲得することが出来ないのか。
思想の背景は弱みとなるのか、強みとなるのか。

バロットとハンターの「ルーツ」の違い、そしてそれによる思想の獲得の違いが描かれていましたが、今巻でもやはりバロットとハンターのお互いに自身の内面を理解していくという流れが肝だと思いました。

次巻は総決算な気がしますので、気長に楽しみに待ちたいですね。